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津波で自宅の“権利証”を紛失。不正な登記を防止するにはどうすればいいですか [建物・土地]


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【Q】津波で自宅が流され、自宅に保管していた自宅の権利証を紛失しました。権利証を失うと、自宅の権利も失うのでしょうか?また、誰かが権利証を見つけ、不正に登記をして自宅の権利を取得してしまうことはないのでしょうか?

【A】自宅(土地と建物)の権利証を紛失しても自宅の権利を失うことはありません。また、登記をするには権利証のほかに本人確認資料も必要ですから、誰かが権利証を見つけても、直ちに不正な登記がされるおそれはないでしょう。もし心配であれば、不正登記防止申出制度を利用する方法もあります。


〔ちょっと解説〕

 権利証とは、不動産(土地や建物)の登記が完了した時に、登記所(法務局)が“登記済み”のはんこを押して登記権利者(住宅の購入者など)に交付していた書面で、「登記済証」とも呼ばれています。なお現在では、権利証に代えて、12桁の英数字で構成される“登記識別情報”を登記権利者に通知する制度に代わっています(不動産登記法21条)。

 ある人が権利証を所持していれば、通常はその人が不動産の権利者本人でしょう。ですから、権利証は,権利者本人からの登記の申請であることを確認する資料として登記所に提出しなければならないなど、不動産取引(登記手続)において重要な役割を担っています。もっとも、この権利証を紛失してしまっても、その不動産に対する権利(所有権など)を失うわけではありません。また、権利証を紛失したからといって不動産の売却などの処分ができなくなるわけでもありません。権利証がなくても、売却時の所有権移転の登記を申請するときに、事前通知制度や本人確認情報制度を利用すれば登記をすることができます。なお、紛失した権利証は再発行されませんので、注意してください。

 このように、権利証は、登記を申請するときに、本人確認資料として登記所に提出する書面ですが、実際に登記をするには、権利証のほかに権利者の印鑑証明書など本人確認資料も必要です。ですから、誰かが紛失した権利証を見つけたとしても、直ちに不正な登記がされ、登記記録上の権利関係が変わるおそれはないでしょう

 どうしても心配な場合、不正な登記がされるのを防止するため「不正登記防止申出制度」を利用してもいいでしょう。これは、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合に、権利者本人が登記所にその旨の申告をして不正な登記がされるのを防止する制度です。権利者本人が申告すれば、申告から3ヶ月以内に登記が申請された場合、権利者本人に当該登記が申請された旨の通知が届きます。この通知を受け取ることにより身に覚えのない不正な登記がされるのを防止できるわけです。なお、不正登記防止の申告をするには通常、権利者本人が登記所に出向く必要があります。しかし、本人が登記所に出向くことができないやむを得ない事情があれば、代理人に登記所に出向いてもらうことも可能です。詳しくは最寄りの登記所(法務局)にご相談ください。


<ご注意ください!>

このブログは個々の事案の法律相談を行う趣旨ではありません。一般論として法律の話をするブログです。このブログだけを見てご自身が抱えている法律問題を解決しようとしないでください。必ず最寄の弁護士会や法律事務所に行って詳しくご相談ください。


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