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職場のいじめ・パワハラをなくそう。職場の一人ひとりが互いに支えあうことが重要 [雇用・労働]


近年、職場のパワーハラスメントの相談件数が急速に増加している。都道府県労働局などに寄せられる「職場のいじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、統計を取り始めた2002年には約6600件だったが、2010年には約3万9400件と5倍以上に激増している。職場のいじめ、嫌がらせ、パワハラは社会問題として顕在化。パワハラを受けた労働者が精神に不調をきたし、うつ病になり自殺に至る事案もあり、それに伴う労災請求や訴訟も増えている。

10年ほど前は、恒常的に長時間労働を強いられる「過労」が原因でうつ病を発症し自殺に至った事案で損害賠償を請求する民事裁判が中心であった。これに対し、近時は、職場のいじめやパワハラを理由とする精神疾患発症に関連した民事裁判が年々増えている。パワハラは、セクハラと同様、職場で行われる不法行為であり、加害者(通常は上司)が不法行為責任を負う場合があるし、使用者(会社)が使用者責任や債務不履行責任を問われる可能性もある

このように対策が急務とされるパワハラについて、厚生労働省は昨年7月、各界の有識者の参集を求めて「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を立ち上げ、今年3月15日に提言を取りまとめた。提言によれば、この問題の背景には、①企業間競争の激化による社員への圧力の高まり、②職場内のコミュニケーションの希薄化や問題解決機能の低下、③上司のマネージメントスキルの低下、④上司と部下の価値観の相違の拡大などが指摘されている。このような事情は多くの職場に当てはまると思われ、どの職場でパワハラが起きてもおかしくない状況である。

訴訟は当事者にとって負担が大きく、パワハラ訴訟では精神的に不調であるからなおさら辛い。したがって、訴訟に至る前にパワハラをなくし解消する取り組みが重要である。多くの企業ではセクハラ対策などの既存の枠組みがあるから、これを活用するのも良いし、また、労使が共同で取り組むことも効果的と思われる。しかし、パワハラ対策の本質は、職場の一人ひとりが、互いの価値観などの違いを認めて、互いを受け止め、その人格を尊重しあうことにある。そして、互いの人格の尊重は、上司と部下や同僚間で、理解し協力し合う適切なコミュニケーションを形成する努力を通じて実現できる

「人格尊重」や「コミュニケーション」は社会人として基本であるから当然に身についているものと思い込んでしまう。しかし、現実にはそうではない。職場の一人ひとりがパワハラを見過ごさず、こうした行為を受けた人を孤立させずに声を掛け合うなど、互いに支えあうことが肝要である

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