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借りた土地の上にある自宅が地震で全壊。土地を借り続けられますか? [建物・土地]


【Q】私はAさんから土地を借り、その上に自宅を建築して住んでいました。東日本大震災で私の自宅は全壊してしまいました。自宅が全壊しても、Aさんから土地を借り続けることができるのでしょうか? なお、土地の賃貸借契約には、「建物が地震で全壊したときは土地の賃貸借契約は当然に消滅する」と書かれています。

【A】借地上の建物が全壊しても借地権は存続しますから、引き続きAさんから土地を借りることができます。また、賃貸借契約に書かれている上記の特約は無効ですから、賃貸借契約は消滅せず、やはり土地を借り続けられます。


〔ちょっと解説〕

 土地の賃貸借契約は、あくまでも土地を対象にした契約です。土地上の建物が地震で全壊しても、土地までもなくなるわけではありませんから、土地の賃貸借契約は存続します。ですから、土地を借りる権利(借地権)は存続し、上記の例で「私」は引き続きAさんから土地を借りることができます。

 では、土地の賃貸借契約に「建物が地震で全壊したときは土地の賃貸借契約は当然に消滅する」と特約が書かれていたら、どうでしょうか?このような特約を見かけることがたまにあります。

 このような特約は原則として、土地を借りる側に不利な特約ですから無効とされます(借地借家法9条)。つまり、このような特約が契約書に書かれていても、何も効果がないのです。ですから、土地の賃貸借契約は消滅せず、やはり土地を借り続けられます。

 ただし、一時使用目的の借地権については、このような特約も有効とされていますので、土地の賃貸借契約は消滅します。例えば、住宅を改築するために臨時の仮住宅を建てるとき、仮住宅のための敷地を一時的に借りたとしましょう。このような場合、一時的に使用するために土地を借りたことが明らかですから「一時使用目的の借地権」を設定したことになるのです(借地借家法25条参照)。そして、もし上記のような特約があれば、その特約は有効とされ、臨時の仮住宅が地震で全壊すれば土地の賃貸借契約は消滅し、もはや敷地を借り続けることはできません。もっとも、新たに土地の賃貸借契約を結ぶことは可能です。


<ご注意ください!>

このブログは個々の事案の法律相談を行う趣旨ではありません。一般論として法律の話をするブログです。このブログだけを見てご自身が抱えている法律問題を解決しようとしないでください。必ず最寄の弁護士会や法律事務所に行って詳しくご相談ください。

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