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人工衛星が数時間後に落下。損害賠償責任はどうなる? [宇宙法]


米国航空宇宙局(NASA)は、制御不能な人工衛星がまもなく地上に落下する可能性があるとして世界中に注意を呼びかけている。

この衛星は、長さ約10メートル、重さ約6トンの大気観測衛星「UARS」。日本時間で今日の正午から午後4時までの間に大気圏に突入し、破片の一部が燃え尽きず、地上に落下する可能性があるという。

通過軌道は、カナダ、アフリカ、オーストラリア、太平洋、大西洋、インド洋であり、日本には影響がないらしいが、あくまでも計算上の予測であり、実際にどのような影響が出るか完全には読みきれない。飛行中の飛行機に衝突する危険性もある。やはり注意が必要である。とはいっても、宇宙から降ってくる衛星を防ぐにはどうしたらよいのか、われわれには見当もつかない。

仮に衛星やその破片が飛行機に衝突したり、地上に落下したりして被害が生じたら、どうなるのであろうか。

このような事故に備えて国際条約「宇宙損害責任条約」がある。事故を起こした当事国(今回の場合は米国)が、被害が生じた国に対して損害賠償をしなければならない。たとえ何ら落ち度がなくても賠償責任が生じる「無過失責任」である。落下した衛星から直接生じた損害が賠償されるのはもちろん、原子力汚染(放射能汚染)による損害も賠償される。しかし、実際に生じた損害だけがカバーされるのみであり、それ以上の賠償(たとえば懲罰的賠償)は認められていない。

このように損害賠償の枠組みが準備されているが、事故が起こらないのが一番である。まもなく「宇宙ごみ」が地球にやってくる。

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カンボジアに2年間赴任して国際協力(法整備支援)の仕事をしました。
今でもカンボジアとの親交が続いています。

その様子は、趣味のブログ“国際弁護士ヒロ カンボジアに遊びに行こうよ!”でお楽しみください。
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