安倍前首相を“強制起訴”できるか?家宅捜索をしない検察をどう見るか [犯罪・事件]
「桜」問題で東京地検特捜部は安倍前首相の任意聴取を終え、近く不起訴にする見通しだ。これは既定路線であり、驚きはない。
注目は、その後の検察審査会だ。安倍氏が“強制起訴”される可能性も残されている。
今回の件は安倍氏の秘書が勝手にやったことであり、安倍氏は全く知らず、関与していない。この筋書きで特捜部は“嫌疑なし”を理由に安倍氏を不起訴にするであろう。
これに不服のある告発人(弁護士など)は検察審査会に「不起訴はおかしい」と申立てをするに違いない。
一般市民11人で構成される検察審査会が「安倍氏を起訴すべき」と決議すれば(正確には2度決議する必要がある)、安倍氏は強制的に起訴される。
過去には小沢一郎衆院議員の「陸山会事件」がある。政治資金規正法違反容疑で特捜部が秘書らを逮捕・起訴するが、小沢氏は“嫌疑不十分”で不起訴。しかし、検察審査会によって小沢氏は強制起訴された(裁判の結果は無罪)。
では、検察審査会は「安倍氏を起訴すべき」と決議するだろうか?
報道によれば、安倍氏の刑事責任を問えるような証拠は全く出ていない。ネット上には「起訴すべきだ」という声が拡散しているものの、国民感情に基づいて検察審査会が判断するわけではない。
検察審査会が「安倍氏を起訴すべき」と決議する可能性は低く、したがって、安倍氏が強制起訴される可能性も低い。
ただし、検察審査会が「捜査が尽くされていないのに不起訴にしたのはおかしい」と決議する可能性は大いにあるだろう。なぜなら、今回の「桜」問題で検察は家宅捜索などの強制捜査を全くしていないからだ。
安倍氏が収支報告書の不記載に全く関わっていないというのは安倍氏本人や秘書の供述に基づく。しかし、安倍氏と秘書が共謀していた、あるいは、秘書が安倍氏に報告し安倍氏がそれを了承したという事実を示すメモや記録、メールなどがあるかもしれない。安倍氏の後援会事務所などを家宅捜索すれば、そのような証拠が出てくる可能性がないとは言えない。
しかし、特捜部は家宅捜索などの強制捜査を一切していない。果たして、これで「捜査を尽くした」と言えるだろうか。検察審査会が「家宅捜索して共謀などを示す証拠があるかどうか、もっと捜査すべきであった」と判断する可能性がある。そうであれば、捜査が尽くされてないという理由で「不起訴はおかしい」と決議するであろう。
「桜」に関する安倍氏の刑事処分は、特捜部の不起訴で幕引きにならない。最終的には検察審査会という国民の判断にゆだねられることになる。
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