今朝“めざましテレビ”で遺失物法について話しました [被災地の復旧・復興]
みなさん、今朝テレビを見ましたか?
私は、フジテレビ“めざましテレビ”で法律の話をしました。
東日本大震災では、被災地にある大量のガレキの山が復旧・復興の妨げになっています。
特に、ガレキの中にある自動車や船舶の取扱いが法律上、難しい問題を含んでいるのです。
完全に破壊された自動車や船舶は、“ごみ(廃棄物)”として自治体が処分することができるでしょう。
しかし、修理すれば使用可能な自動車や船舶は、まだ持ち主が今後も使う意思があるかもしれないので、“ごみ(廃棄物)”とはいえないのです。
だから、自治体が、持ち主の許可なくして自動車や船舶を撤去したり壊したりすることはできません。とはいっても、被災地ではまだたくさんの人が行方不明。あるいは、避難して連絡先がわからない人も多いです。持ち主が誰か、持ち主がどこにいるか、わからないことが多く、持ち主の許可を得ることができません。そのため、ガレキの撤去作業が難航し、復旧・復興の大きな妨げになっているのです。
そこで政府は、自動車や船舶に“遺失物法”を適用し、3ヶ月後に自治体が処分できるようにしようとしています。つまり、警察が自動車や船舶の持ち主を探し出すために公告をし、その後3ヶ月が経っても持ち主が誰か、持ち主がどこにいるかわからなかったら、自動車や船舶が自治体の所有物になり、処分(廃棄)できるようになるのです。
しかし、震災時のガレキ処理のために遺失物法を自動車や船舶に適用することは適切でしょうか。このような問題意識をテレビで話しました。
遺失物法は決して震災時を想定して立法されていません。だから、震災の混乱時に持ち主を探すために適切な公告ができるのか、その期間はわずか3ヶ月間で十分か(かつては6ヶ月間でした)、そもそも自動車や船舶といった大きく高価な財産に遺失物法を適用してよいのか、様々な疑問点が出てきます。
早期にガレキを撤去しなければならないという状況であることは理解できますが、遺失物法を適用することが適切か、政府はよく検討すべきでしょう。
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