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木嶋被告への被告人質問が今日で終了。無罪推定を覆すことは困難となったか【連続不審死事件その4】 [裁判]


首都圏で2009年に起きた男性3人の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告の裁判員裁判は今日、被告人質問が終了する。殺害を示す直接証拠が乏しく、木嶋被告は捜査段階ではずっと黙秘を続けた。検察側が反対尋問で木嶋被告から何を引き出せるか、尋問テクニックが有罪・無罪を左右する

検察側の反対尋問が2日間を終え、残るは今日の1日のみ。これまでの法廷の様子を見と、検察側は攻めあぐねている。検察官は、殺害目的で練炭を購入したか、男性を殺害したか、など本件の核心となる質問をするが、木嶋被告はいずれも無難に切り抜けている。検察官は法廷供述の矛盾をつく質問を織り交ぜているものの、逃げ道を封じることなくストレートな質問をぶつけているため、木嶋被告が追い込まれて窮するという場面はない。

また、検察官が木嶋被告に対して「真実を話してくれませんか」と訴えかけるような質問をすると、木嶋被告は「(真実を)話してます」と強く言い返した。私は東京地裁で裁判官をし、国際弁護士として日米の法廷に立ったが、反対尋問でこのような質問をして成功した事例をいままでに1度もみたことがない。むしろ、このような質問がされると、検察官は木嶋被告を攻める材料が多くないため「真実を話してくれ」と嘆願するほかないのか、という印象を受ける。

木嶋被告は反対尋問ではとても短く返事し、ほころびが出るのを極力防止している。また、弁護人が適時に「異議あり」と唱えて援護している。しかも、弁護人が主尋問で、検察側が質問するであろうことをあらかじめ質問しておいたため、検察官は反対尋問でおおむね同じような質問を繰り返している。木嶋被告のブログを引用するなど新しい切り口から反対尋問している場面も見られるが、弁護側の法廷戦術が効を奏している

今日の被告人質問では裁判員や裁判官も木嶋被告に質問するであろう。何を質問するか、注目される。

木嶋被告が今日の被告人質問も無難に切り抜けたならば、男性3人の殺害に直接関わる供述が得られなかったことになる。木嶋被告の法廷供述にはいくつか疑問が残る点もあり完全に信用できるとは言い難いが、そうかといって有罪に結びつく決定的な証拠もない。情況証拠を積み重ねるほか有罪を立証できない事件であるが、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則に照らせば、殺人3件について木嶋被告の無罪推定を覆すことは難しい状況であろう

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