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原発事故で避難した人の慰謝料は“月額10万円”と算定されます [原子力災害]


【Q】福島第一原発の事故のため家族4人で避難生活を送っています。精神的な苦痛に対する慰謝料はどれくらい支払ってもらえますか?

【A】避難住民に対する慰謝料は、事故発生から6ヶ月間は1人あたり月額10万円、より過酷な環境の体育館などに避難した人には月額12万円が支払われます。したがって、4人家族の場合、事故発生から6ヶ月間は合計で月額40万円(または48万円)が支払われます。


〔ちょっと解説〕

 福島第一原発の事故による損害賠償の範囲及び金額算定のガイドラインを検討・作成している「原子力損害賠償紛争審査会」は昨日、政府の指示に基づいて避難した住民の精神的損害に対する賠償(慰謝料)について、次のように定めました。

(1)事故発生からの6ヶ月間(第1期)
①年齢や世帯に関係なく1人あたり月額10万円
②最も過酷な環境と認められる体育館や公民館などの避難所に避難した人は、2万円を加算して1人あたり月額12万円

(2)事故発生後6ヶ月~1年(第2期)
年齢や世帯に関係なく1人あたり月額5万円(避難所に避難した人も同じ)

(3)事故発生から1年後以降(第3期)
今後の事故の収束状況を踏まえて改めて算定

 このガイドラインに従って慰謝料が支払われた場合、4人家族で避難生活を送っている世帯には事故発生からの6ヶ月間、4人分の合計で月額40万円が支払われます。体育館や公民館などの避難所に避難している場合には合計で月額48万円となります。

 慰謝料の基準額である“月額10万円”は、交通事故で比較的軽いケガをして入院した場合の慰謝料(月額12万円程度)を参考に決定されました。入院している状況と避難生活をしている状況は「動けない状態」で似ているからですが、避難生活の場合にはケガをさせられたわけではないので若干金額を低くして算定したそうです。

 とはいっても、公害の事案で裁判所が認める慰謝料と比べるとずいぶんと高額です。例えば、空港・基地騒音訴訟では慰謝料は月額2千~1万円程度、道路大気汚染・騒音訴訟では月額5千~1万円程度だからです。

 避難所での避難生活を強いられている人は、過酷な環境の中でプライバシーも確保できない状況が長期にわたっています。精神的苦痛を金銭で評価することは難しく、月額10万円(または12万円)が妥当かどうかは、個々人の受け止め方で様々だと思います。ただ一ついえることは、避難されている人が望んでいるのはお金ではなく、“一日も早くもとの生活に戻りたい”ということです。


<ご注意ください!>

このブログは個々の事案の法律相談を行う趣旨ではありません。一般論として法律の話をするブログです。このブログだけを見てご自身が抱えている法律問題を解決しようとしないでください。必ず最寄の弁護士会や法律事務所に行って詳しくご相談ください。

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