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日本に滞在か?タイ代理出産問題の男性は、たとえ不法入国・滞在であったとしても、出頭申告をして速やかにタイに戻るべきだ [日本の法令]


タイで日本人男性が多くの乳幼児を代理出産させたとされる問題で、タイ警察は簡易鑑定の結果、タイにいる12人の子供と男性のDNAが一致したと発表した。しかし、タイ警察は男性に事情聴取を要請しているが、いまだに実現していない。この男性の所在すらもわからない

男性は、タイ人の代理人を通じてDNAサンプルを提出したが、DNAサンプルは日本から届いたという。男性が日本に滞在している可能性が濃厚とみられる

男性が日本に滞在しているとしたら、タイに戻るのは困難であろう。なぜなら、日本に不法に入国・滞在しているおそれがあるからだ

昨日のブログで書いたとおり、この男性がカンボジア国籍を取得した時点で日本国籍は自動的に喪失する(国籍法11条1項)。本人が国籍喪失届を提出していなくても、法律により日本国籍は失っている。つまり、この男性は日本で「外国人」と扱われる(出入国管理及び難民認定法2条)。

そうすると、男性は日本のパスポートで日本に入国することは許されない。日本のパスポートを使って入国すれば旅券法違反となり、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる(旅券法23条)。また、不法入国にもなり(出入国管理及び難民認定法7条)、その後の日本滞在も違法である。

代理出産問題が日本でも大きく報道されているため、日本の出入国管理当局は男性の名前を把握していると思われる。男性が日本のパスポートを使って日本から出国しようとしても、出国審査で呼び止められ、旅券法違反や不法入国・滞在の疑いで逮捕される可能性がある

では、日本以外のパスポートを使って日本から出国できないであろうか

報道によると、この男性は日本以外にもカンボジアなど複数の国のパスポートを所持しているという。

しかし、例えばカンボジアのパスポートを使って日本から出国する場合、このパスポートには「入国スタンプ」(上陸許可)が押されていないため出国審査に引っかかるであろう。カンボジア人が日本に入国するには、海外でビザ(査証)を取得し、日本の空港で入国審査官から入国スタンプ(上陸許可)をパスポート上に押してもらう必要がある。男性が入国時に日本のパスポートを使用したとしたら、カンボジアのパスポートには入国スタンプが押されていない。入国スタンプがないカンボジアのパスポートでは、出国審査は通らない

このように、男性が日本に滞在しているとしたら、不法入国・滞在のおそれがあり、日本から出国するのは困難であろう

だからといって、このままタイに戻らないとしたら、タイにいる12人の子供はどうなるのであろうか?親の顔を知らないまま児童施設で養育されるとしたら、男性は父親としてあまりに無責任というほかない。

仮に男性が日本に不法に入国し滞在しているとしたら、「出頭申告」すべきである。出頭申告とは、いわば「自首」のようなもので、不法に滞在している外国人が、自ら地方入国管理局に出頭してその容疑を申告することをいう。出頭申告をした場合、送還要件(旅券・航空券など)が整っていれば速やかに送還となり、早期に本国に帰ることができる。

タイにいる12人の子供のため一日も早くタイに戻り、施設から子供を引き取って愛情を注いで養育していくことが、父親として最低限の責務である

【お断り】  
上記の意見は、カンボジア政府の見解ではありません。あくまでも私の個人的意見であることをお断りします。

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